
●群馬県の上毛新聞社の高崎のみ約62000部毎週金曜に
発行の折り込み紙です。月末の連載予定です
楽しみにしてください
●『夕焼けの大桁山』『屏風のように広がる榛名山』
31日まで、スズラン前橋で個展を開いています。今年は造形教室の生徒たちの作品展と一緒にすることにしました。作品展も毎年度末に開いており、一緒にすれば時間的に楽だと思ったのです。でも両方を同時進行で準備していたら、全く休みが取れなくなってしまいました。
そんなある日、数年前の生徒の親から「高崎市で病院を開業する先生に絵をあげたいのですが」と電話がありました。開業する先生も私の生徒の親でした。快く仕事を受けたのですが、注文通りに榛名山をバックにした絵がなかなか描けません。3月になると木々が息づき、山が見えない日が多くなるのです。
締め切り前の最後の休日、私は友達と南牧村に行く約束をしていました。友達と一緒に入院していて、お見舞いに行った私とも仲良くなった人に会いに行くのです。「遠いから少し早めに出なくちゃね!」と、友達はまるで遠足のように私の大好きな珈琲や地図を準備してくれていました。
その日は何ともすべての山が綺麗です。病院を描きに行くと、まるでおひなさまの屏風のように榛名山が広がっています。描き終えて友達の家に行くと、浅間山も妙義山もすごく綺麗です。あと一枚、あと一枚と描いているとあっという間に時間が過ぎていきます。友達はたくさんの小さな山の名前を教えてくれました。
急いで南牧村に向かい、やっと目的の井上うどん店に着くと、久しぶりに会った奥さんはすごく若々しくすっかり元気で、私たちのためにたくさんのお料理を出してくれました。お客さんが「会ったことあるよね?」と、親しそうに私に話しかけてきます。奥さんが「この人は絵描きよ」と言うと、「思い出した!僕の行く病院の絵の横に君の写真があるよ」。話が盛り上がって村を紹介してくれることになり、「蝉の渓谷」まで連れて行ってくれました。今までに見たことがないほど深い渓谷にびっくりしました。
一日中絵を描いて高崎に戻ると、すっかり夕焼けになっていました。友達は「あれは大桁山って言うんだよ」と最後まで小さな山の名前を教えてくれました。なんとも朝からいろいろあって新鮮な一日でした。