
●群馬県の上毛新聞社の高崎のみ約62000部毎週金曜に
発行の折り込み紙です。月末の連載予定です
楽しみにしてください
3年前のことです。富弘美術館で開いている「花の講座」で遅刻をして元気に入ってきた人がいました。高崎から来てくれたのですが、よく聞くと九州から引っ越してきたばかりだそうです。次の年の個展にも来てくれたので、自宅でおとな向けの絵の教室を始めたことを伝えたら、来てくれるようになりました。そして、教室のたびにすばらしい花をたくさん持ってきてくれるのです。
「先生、ぜひ庭を見に来てください。綺麗なんですよ」と誘われて高崎市山名町の高台にあるお宅に行くと、近くの人たちも私が来るのを楽しみに待っていてくれました。花曇りの日でしたが雨の予報は外れ、楽しくお茶会をすることができました。
30種類以上あるバラの一つ一つに名前が書いてあり、「人に名前があるように、バラは『バラ』って呼ばないのよ」と言います。昨年いただいてすばらしいと思った「ピース(平和)」というバラを描き始めると、「第二次世界大戦が終わった年につくられた花なのよ」と教えてくれました。バラにも一つ一つ生まれたいきさつや名前があることに感動しました。
しばらくすると、近くの知人が顔を出してくれました。大変な病気にかかっているのですが、私の個展に何回か来てくれた方です。「来週からまた東京で入院なのですが、先生に会えてすごく元気になりました」と言います。言葉も身体もあまり良く動かない中、私に教わって少しずつ絵を描いているとスケッチブックを見せてくれます。「もうすぐ画集が出るので読んでくださいね」と話すと、「病室での楽しみが増えそうです」とにこやかに答えてくれました。
多くの病気で入院したり身体が思うように動けなくなったりした人のためにも、私は群馬の風景をたくさん描き残していきたいと思います。晴れた日には谷川の方まで見られると聞き、この町にもう一度来ることを約束しました。楽しい時間を過ごして家に帰ると、もうすっかり暗くなっていました。
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6月2日(火)まで、高崎スズラン地下1階美術工芸サロンで、「筑井先生のスケッチBook3」出版記念個展を開催中です。